昨夜、「歌え青春はりきり娘」と言う映画をDVDで見ました。
昔々のモノクロ映画で、少女時代の美空ひばりが、自分自身と、そっくりさんのバスガールと二役を演じています。
バスのことを卒論に書いている学生さんからお借りしたもので、感想を求められていました。
あらすじは
電車が通るたびにぐらぐら揺れるぼろアパートで、母と弟との貧しい暮らしを支えている、美空ひばりにそっくりな新人バスガールが、母譲りのオンチに悩んでいる。(弟が高校3年らしいから姉はもっと上?当時バスの新人は皆15才だったのに)
浮気して母と離婚した父親が、戻りたがっているが、父も母も素直になれず意地を張り合っている。子供たちはその両親の復縁を画策し、成功する。
車庫では指導車掌と運転手、歌の上手なコンビが結婚することになる。出庫前の掃除の時間に、運転手が歌いだし、車掌たちが手を止めて聞きほれる。(出庫前にそんな暇はありません)そのまま発車。(切符も受け取らず、操車係に申告もせず)
乗務中の出来事は、まあまああり得ることだけど、入庫して会計係の前で計算し「百円足りない」とヒロインが騒いでいる。指導車掌が「不足分は給料から引かれるのよ」という一言を入れているのはいいが、百円札が胸ポケットから出てくるなんてありえない。出てくるのはかばんの脇のポケットでなければならず、胸ポケットから出したら疑われて当然。
別の日の休憩室。男の検査員が来て車掌が集められ「ポケットの中のものを見せなさい」といわれる。各自自分でポケットの中身を出して見せるだけの検査・・・ありえない。
あんな検査ならいくらでもチャージできてしまう。第一男性が調べて何がわかる?盗んだ金をポケットに入れているわけがない。乗務の途中や、入庫直後に裸同然にして調べるから摘発できたのであって、この映画に出てくる検査は検査ではない。そのいい加減な検査で、ヒロインのポケットから千円札が出た。別れた父親が偶然乗り合わせて、そっと彼女のポケットに入れたものだ。翌日午後番の勤務前に彼女は父を伴って出社。疑いが晴れる・・・・・・ありえない。千円が発見された時点で勤務からはずされる。父親が証言したところで誰も信じない。疑いが晴れることは絶対にないだろう。
だいいち、休憩時間や、清算後にポケットを検査しても何にもならない。休憩室では自分のお金をもてるのだから。
映画は、大手バス会社の協力で作られ、実際の車庫を撮影している。会社は「臨検」の実態は絶対に話さなかっただろう。だからあんなありえない検査でお茶を濁したのだろう。
結論は、バスガールの仕事を、乗客から見える範囲は、かなり正確に描いているけれど、車庫のことなどはでたらめだと言う感じです。
お堀端で故障して「応急車」の救援を待つ間、運転手と指導車掌のカップルが仲良くしているので、見習いのヒロインは、車から出てゆく。そこで思いを寄せる学生と出会ってお堀を見ながら二人で座っている・・・ありえない!故障車から離れることはできない筈、お金を持ったまま、車の外で人に会うなんてできる訳がない。
ありえないといえば、本物の美空ひばりがそっくりさんを招いて、レッスンしてあげる。オンチと思っていたヒロインが一回のレッスンでたちまち歌えるようになる・・・まあそこが映画の世界で・・・でも二役の美空ひばりが、画面に一緒に出ているシーンがかなりあって、一緒に歌ってもいる。モノクロ映画の時代にそういうことが上手にできているのが面白かった。
まあ、美空ひばりの娯楽映画だから、この程度でよかったのでしょう。
私には30年代の東京下町のアパートの暮らしが面白かったです。