人気ブログランキング |


憲法九条を論ずる記事
五色浜の子守唄のご縁で、お知り合いになれた、多幡達夫さまのブログで、以前の記事のご紹介をお許しいただきました。

リンクでなく、貼り付けさせていただきます。2004年の記事です。
今の政治がエスカレートしたら、憲法九条は、風前の灯火。危機感を抱いております。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2004年11月22日月曜日

「日本国憲法第9条について論ぜよ」
 昨年、大学の通信教育を受けている友人が、表記の課題を貰ってレポートを書かなければならないので、どのように書いたらよいか教えて欲しいと言ってきた。私は自分の勉強にもなると思い、2日がかりでかなり詳しいレポート見本を作成して送った。政府・自民党が憲法の「改正」を行おうとしているいま、多くの国民が現憲法、特にその第9条について、よく知っておくことが重要でる。そのための一助になれば幸いと思い、ここにそのレポート見本を掲載する。(同じ課題でこれからレポートを書かなければならない学生に丸写しされるといけないので、一部割愛する。)



    日本国憲法第9条について

1. はじめに

 日本国憲法の中で、第9条は「戦争の放棄」に関する条項として、多くの日本人のみならず、諸外国の人々にも広く知られているものである。本レポートでは、同条項の内容、日本国憲法の中での意義、同条項をめぐる歴史、国内的問題点、国際的意義と問題点および今後の課題について、諸文献を参考にして考察する。

2. 第9条の内容

 第9条は、補則を含めて11章103条からなる日本国憲法(1946年11月3日交布、1947年5月3日施行)の「第2章 戦争の放棄」を単独で構成する条項であり、次の条文からなる。

第9条 日本国民は、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第1項は、他国との紛争の解決に戦争や武力という手段を使用しないこと(戦争の放棄)、第2項は、戦力を保持しないこと(戦力の放棄)を明言している。

3. 日本国憲法の中での意義

 日本国憲法は、その前文において三つの基本的な考え方を述べている。それは、「民主主義」、「国際平和主義」および「主権在民主義」である(文献1)。このうち、国際平和主義については、前文第1項に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」とあるほか、第2、第3の2項にわたって、次の通りに述べられている。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと勤めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。


 第9条は前文のこれらの項を受け、永く続いた戦争の後で、平和、民主、自由を尊ぶ国際世論に支えられて出来上がった日本国憲法の中で、重要な3本柱の一つという役割を担っているのである。

4. 第9条をめぐる歴史

 (一部割愛。文献2、3をここで引用)

 1947年に文部省によって発行され、全国の中学生が1年生の教科書として学んだ文献1は、戦争放棄の説明の導入部分で、次のように記している。

戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戦争をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。

 また、戦力の放棄に関し、同文献は、次のような説明を加えている。

しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。


 このような説明の盛り込まれた教科書は、当時の中学生だけでなく、教え子やわが子をふたたび戦場に送らないようにしようと誓い合い、新しい平和と民主主義の教育への熱意に燃えていた教師、父母に深い感動と明るい希望を呼び起こすものであった。しかし、この教科書は、2、3年使われただけだった。日本が1950年に始まった朝鮮戦争の基地にされ、日米安保条約が結ばれ、「警察予備隊」が「自衛隊」に変わって行くという時代の流れの中で、教室から姿を消していったのである(文献4)。このことが、国際的に誇るべき内容を持つ第9条への、日本人自身の理解をいささか乏しくさせる一因になっている。

5. 国内的問題点

 (割愛。文献5を本章で引用)。

6. 国際的意義と問題点

 第9条で日本が戦争を放棄したことは、第2次世界大戦でわが国の侵略を受けたアジア諸国に対して、今後同様な侵略はないという安心感を与えてきた。

 しかしながら、わが国の政府が第9条の解釈を次第に変えながら、自衛力の増強を進め、さらに、米国の始める戦争に日本が協力・参加するための「新ガイドライン」関係法を制定したり、日本への武力攻撃を想定した「有事」関連法案を持ちだしたりしているわが国の動きは、その安心感を覆し、これらの国々に大きな不安を抱かせつつある。

7. 今後の課題

 2000年に衆参両院に「憲法調査会」が設置され、憲法改正を視野に入れた動きが始まっている。私たち国民はこれに対してどのように考えればよいのだろうか。評論家加藤周一は、「憲法問題」について、

「第9条をできるだけ都合のいいように解釈することでできる軍備の規模が限界にきたので、今度はいよいよ第9条を変えることによって、もっと自由に行動できる軍隊を備えたいということになる

と推定する。そして、

世界の大勢は、いまはそうではないが、将来は次第に普通の国が軍備を放棄する方向へ、少なくとも軍縮を経て軍備放棄に動く可能性があり、世界がそういうふうに動くのであれば、日本は世界の大勢を先取りしているのであり、第9条は国としての誇りの中心になり得る、したがって第9条の放棄をしないほうがいい

と論じている(文献6)。第9条にかかわる「憲法問題」は、このような遠大な視野に立って検討すべきものであろう。

8. まとめ

 以上の各章で見てきたように、日本国憲法第9条は国際平和主義にのっとって作られた理想主義的な条文である。過去の戦争への反省の欠如や、自衛力との関係での解釈等に問題がないことはなく、現実との間にも矛盾をはらんだ経過をたどってきたが、将来の世界の動きを先取りした誇るべき条項として、存続が切望される。

文献

文部省「あたらしい憲法のはなし」(1947、実業教科書株式会社)

長谷川正安「憲法を生んだ力、育てる力」(文献1復刻版の解説)(1972、日本平和委員会)

加藤文三他「日本歴史 下 改訂版」(1978、新日本新書)

日本平和委員会、文献1復刻版の「あとがき」(1972、日本平和委員会)

長谷川正安「日本の憲法 第3版」(1994、岩波新書)

加藤周一「私にとっての20世紀」(2000、岩波書店)


[最初の掲載サイトでのコメント欄の記載を以下に転載する。]

S 11/22/2004 15:35
 法学部出身者として、一言申し上げます。憲法弟9条は、たぐい希な平和憲法であると、日本人として誇りに思います。
 しかし、米国におけるネオ・コンの台頭や、小泉政権の右傾化に憂慮するものですが、わが国は自衛権までも放棄したわけではありません。日本共産党でさえそう言っています。同党によれば、日本の安全が危うくなった時は、対外的には海上保安庁を活用し、
対内的には警察を活用するという考えのようです。
 本当にそれだけで良いのでしょうか。自衛権を保持するということ、すなわち国民には国を守る義務があるという考え方は不自然でしょうか?ここらあたりをないがしろにしたままでは、いつまでたってもわが国の安全を自ら守るという概念が沸いてこないのではないか、そんな気がしてなりません。
 自衛。わがくにはこの問題に対してきちんとした、憲法までをも含めた範囲で考え直す必要があるように思います。具体的な自衛権の行使は法律ないしは憲法によって明文化されるべきだという立場に私は立ちます。

Ted 11/22/2004 17:02
 コメントありがとうございます。実は私も、割愛した第5章に「前文第1項後段の『国際紛争を解決する手段としては』という表現には自衛戦争は含まれない、というのが現代国際法の通説である」旨を記し、「戦争放棄」は「自衛」の放棄ではないことに注意を喚起する論旨としていました。この点を改正で明文化するのはよいのですが、外国への出兵に歯止めがかからないような「改正」をすべきではなく、いまは、そのことに国民の皆さんが、より大きな注意を向けて欲しいと思います。

S 11/22/2004 17:32
 日本の主権が侵されたわけでもないのに、今回の自衛隊派遣は理解に苦しみます。対米追従と言われても仕方がないし、実際そのとおりですから。こういった部分の歯止めをかける意味で、何らかの規定・尺度が明文化される必要があると考えます。憲法9条をめぐる解釈は、もう限界が近づいていると思っています。なんとかしたいですね。平和が一番ですから。

Ted 11/22/2004 19:34
 明文化の必要な部分は確かにありますが、「理解に苦しむ自衛隊派遣」を今後は、はっきりと合憲化しようという方向での明文化では、平和指向とは逆の「改正」になるのではないかと危惧します。

S 11/22/2004 19:51
 はい、その危惧が静かに進行しているという認識を持っています。平和憲法改悪はNOだと国民がはっきりと意思表示しないといけませんね。

Ted 11/23/2004 09:22
 「はっきりと意思表示しないと…」その通りと思います。再三のコメント、ありがとうございました。
by hisako-baaba | 2013-07-05 09:38 | Comments(2)
Commented by Tatsuo Tabata at 2013-07-05 10:06 x
私の記事を貼り付けていただき、ありがとうございます。「富岡製糸場見学」の記事も楽しく拝見しました。
Commented by hisako-baaba at 2013-07-05 16:42
多幡さま
勉強したいけど、とっつきにくいことを、わかりやすく書いてくださって、参考になります。

でも、憲法改悪反対の声は小さくなりましたね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 陽だまりの会 富岡製糸場見学 >>


1931年生れのhisakobaabaが七十代万歳と言って始めたブログが八十代に続いています
ブログパーツ
カテゴリ
以前の記事
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
フォロー中のブログ
最新のコメント
dekoさま 泣いても..
by hisako-baaba at 15:07
こんにちわ 本当にどん..
by Deko at 14:22
saheiziさま ぎ..
by hisako-baaba at 10:45
痛切にしてタクマざるユー..
by saheizi-inokori at 09:57
saheiziさま は..
by hisako-baaba at 18:24
憎めないなあ。
by saheizi-inokori at 18:00
marshaさま 長い..
by hisako-baaba at 19:29
ウドの皮のきんぴらは私も..
by marsha at 16:31
Junkoさ〜ん 今朝..
by hisako-baaba at 09:06
Hisakoさーん、お一..
by cocomerita at 01:59
momoさま 一人は良..
by hisako-baaba at 20:52
こんばんは。 一人の時..
by hanamomo60 at 19:31
marshaさま 人相..
by hisako-baaba at 07:51
上に盾を付かないものだけ..
by marsha at 07:21
Sideさま はい、私..
by hisako-baaba at 20:19
政権の内部から批判が出な..
by sidediscussion at 18:47
saheiziさま 私..
by hisako-baaba at 15:25
marshaさま はい..
by hisako-baaba at 15:22
ユニクロのヒートテック、..
by saheizi-inokori at 14:39
ご主人のショートステイの..
by marsha at 13:49
最新のトラックバック
venussome.com
from venussome.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
緊急事態だぞ! 映画「日..
from 梟通信~ホンの戯言
いちはやく -189:児..
from 虹色せんべい
世界遺産に登録される日本..
from dezire_photo &..
月 長元坊 巨人機 溶岩..
from 掬ってみれば無数の刹那
セルバンテス『ドン・キホ..
from dezire_photo &..
セルバンテス『ドン・キホ..
from dezire_photo &..
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧