7月9日に「江戸のユーモアは素晴らしい」のところに書きましたが、専修大学の林先生のブログの「地口行燈」に興味を引かれたとき、先生のブログに載っていた写真の木の名前をご存じなかったので、多分「児手柏」だろうとネットで確認したら、万葉集に児手柏の歌が2首あると出ていました。でも解説が無かったのでどういう歌なのでしょうかと、林先生にお伺いしたところ、そこからずーっと「児手柏」についてブログで語ってくださっています。
万葉の頃にはまだ、現在の児手柏は中国から渡来していなかったので、万葉に歌われた「児手柏」は全く違う木であった様です。柏の文字も中国と日本では全く違う木を示しているそうです。中国で「柏」の文字を使うのは「檜」の仲間なのでした。今の児手柏もヒノキ科です。
一方、万葉に歌われた「児手柏」は広葉樹の何からしいのです。でもそれは不明なのだそうです。
林先生が解説してくださった万葉の歌です。
A)【原文】奈良山乃 児手柏之 両面尓 左毛右毛 侫人之友 (巻十六・3836)
【訓み下し】奈良山の 児手柏の 両面(ふたおもて)に かにもかくにも侫人(こびひと)のとも
【大意】奈良山のコノテガシワの葉の、表と裏の違いが際だっているように、
なにかにつけて口先と腹の中がまるで違う、あのおべっか使いどもよ。
当時の児手柏は表と裏が全く違う葉なのですね。いまの児手柏は裏表に差がありません。それに今の児手柏は漢方薬として渡来してまだ四百年くらいのようです。だから全く別物だったのです。
それにしても率直で面白い歌ですね。
林先生のブログ
ここは勉強になってとても有難いです。