暗い話が多いので、三井昌志さんの本、「スマイルプラネット」
コレを読み返していました。
可愛い笑顔、生活に負けない逞しい笑顔、こちらもつられて笑顔になるアジアの素晴らしい笑顔、笑顔。
その中で、戦争の続く国の漁師のおじさんが,真理を語っていました。
「あまりにも長いこと戦争が続いていると、みんな『なぜ戦うのか』ってことすら忘れてしまう。
そして恨みや憎しみだけが残るんだ」長年戦争と隣り合わせの暮らしをしてきた漁師の男は,悲しそうに首を振った。
「でも、争いはいつかは終わる。私はそう信じているよ」男は僕の前に右手を広げて見せた。長年魚網を投げ続けているその手は、グローブのように分厚かった。
「見てごらん。5本の指の長さはそれぞれ違うだろう。おなじように、ひとりひとりの人間が考える事もそれぞれ違う。大切なのは、お互いの違いを認めることだ。相手の言う事に耳を傾けることだ。
俺達はこの長さの違う指を使って魚を獲り、道具を造り、美しい絵を描く。同じ人間同士が力を合わせれば、素晴らしいものが生み出せる筈さ。この手は、殺しあう為にあるんじゃない、幸せを作り出すために有るんだよ」
僕は男と握手を交わした。分厚くてかたいその手の温もりを、僕は今でも覚えている。(三井昌志 スマイルプラネットより)